【ゲストブックレビュー】営業目線、MDふかん目線、美人目線で教えてくれる珠玉の3冊
営業、スタッフ管理などに長けた、iさんのレビューです。
********************************
営業を18年経験したあと、MDに異動して、「クリエイターの価値づけ」や「MD系子会社の設立、運営」などの仕事をしてきました。
営業も楽しかったけど、こっちにはまだまだ知らない世界があって、未だに毎日刺激を受けています。
①「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う」 尾形真理子
http://books.rakuten.co.jp/rb/6876110/
異動してCDCの担当になり、そこで尾形真理子という素敵なコピーライターと出会いました。
彼女が書くルミネのコピーは、ひとりの生活者として大好きで
渋谷の駅に毎月張り出されるポスターを楽しみにしていました。
出会って半年くらいして、彼女の初小説本が出る、ということで真っ先に読ませてもらったのですが、
その時の衝撃がすごかった。彼女の、人を丁寧に見つめる視線や、心のひだにすっと入ってくる言葉の数々。
クリエイターの才能というのは、なんて無限で素晴らしいのだろう、と感激したのを覚えています。
私の、クリエイターをはじめとしたMDの方々に対するリスペクトの気持ちを改めて再確認できた出来事でした。
装丁は、上岡真弓さん。最近、文庫本もでましたが、やはりこの装丁で読みたいです!
②「つくることばいきることば」 永井一正
http://books.rakuten.co.jp/rb/11586549/
言わずと知れた、グラフィックデザイン界の大御所、永井一正先生の本です。
今年で御年85歳。何度かお会いしたことがありますが、凛として静かな空気をまとった、とても素敵な方です。
70歳を過ぎてから、なんとカルチャーセンターで銅版画の技法を学び、あとは独学で作品を作り上げられてきたとのこと。
彼のライフワークでもある「LIFE」シリーズの一環で、動物や自然をテーマにした銅版画作品と一正先生の言葉がセットになった本です。
この本出版のトークショーでは
「人間が感じる五感というのは、自然に内在されている。デザインは、五感で感じたものを自分の中で内包して組み立てる作業で、
クリエイターによって、組み立て方に個性があるのです。同時にアートと違って機能を持っている。目的があると思っています。」
とおっしゃっていました。
実際の版画も非常に緻密かつ大胆ですばらしく、私の家の玄関には、この本に入っている版画2枚セットが飾ってあります。
この本を読むと、五感を研ぎ澄ませて「クリエイション」と向き合う一正先生の姿勢がひしひしと伝わってきて、背筋を伸ばしたくなります。
装丁は、息子である永井一史さんです。
③「私はこうして受付からCEOになった」 カーリー・フィオリーナ
http://books.rakuten.co.jp/rb/5191141/
元ヒューレットパッカード会長兼CEOのフィオリーナ女史の本。
実はあまり「ビジネス書」の類は読まないのですが、不動産会社の受付としてキャリアをスタートし、
HPの会長にまで昇りつめた女性としての生き様はどんな感じだったのだろう、ということに興味があり読んでみたら
なかなか面白くて、一気に読み進めてしまいました。
女性の経営層への登用が日本より格段に進んでいるUSですが、カーリーの時代はまだ「女性である=能力が劣る」という
あからさまな偏見が横行していたそうで、さまざまなタフな状況が出てきます。
この本は、原題が”Tough Choices”となっていて、内容は彼女のサクセス・ストーリーでも、泥沼のCEO解任劇の裏話でもなく、
誰もが仕事をしていく上で抱える、人間関係やキャリアで困難な壁に当たったときにどのように乗り越えてきたのか、
諦めそうになったときに、自分をどう奮い立たせてきたのか、ということが語られていて、好感の持てる読後感でした。
***********************************
iさん、ありがとうございました。