BookQuest3P

企画を生きざまとする5人の仕掛けの、気まぐれなブックレビュー。仕事に使えたり、暇つぶしや、リラックス専用も。多少のエゴの炸裂があるかもしれませんがその辺はご愛嬌。

【ゲストブックレビュー(3月マンスリー企画)】MDの巨人お薦め    思考を刺激する図書(第2弾)

MDの巨人「Tさん」が、最近マーケティングを考える上で刺激になった本を紹介します

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柳宗理 エッセイ』   柳 宗理(著)

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柳宗理 さあ、よい仕事をしよう』  別冊太陽

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「デザインでつくるのではなく、作ることでデザインが生まれてくる・・」

最初は図面がない食器もあるし、試作品段階で(生活者の)使い勝手を追求する。。。

柳宗理は言っています。色々な示唆が含まれていて、今でいう「プロトタイピング」の意義についても触れています。考えるよりも手が動くし、その時に徹底して生活者のキモチで考えていじれと。それをやりながらデザインは出来ていく。「本当の美は生まれるもので、つくり出すものではない」という記述があります。また、「五感」の大切さも秘められていると感じます。また、「アノニマスデザイン」(無名性のプロダクトデザイン)の意味についても触れている。(ブランドとか)(人の名前とか)に(頼った)価値ではダメ。

例えば登山用のピッケルはシャフトの形状、石突の鋭さ等、素材、強度、機能、全体のバランスがクライマーの命に直接関わる。誰がデザインしたのか分からない、あるいはデザイナーの参加さえ許されないものの中に美的に素晴らしく、「長く使い続けられている」プロダクトがあり見習うべき。「その土地土地の生活の用に準じて、忠実に素直に作られている健康で平穏な美しさ」。美を意識しないからこそかえって美しいものがある。
他にもアノニマスデザインの例として、はさみ、野球のグローブとボール、そろばん、フラスコ、ビーカー、スクリュー、足袋、ジーパン、たわし等。伝統的な「用即美」の境地とほぼ同一のもの。我々マーケター、広告に関係する人達は、どれだけノイズを世の中で上げるか?を職としてきたかもしれないが、サステナブル、継続性といった視点での戦略、アウトプットがますます求められていると思う。